Las caracol 2015秋冬号
8/28

池袋駅東口から歩くこと15分、駅前の賑やかな雰囲気が途絶えたところに独特な空気を醸し出している「古書 往来座」。そこでは時を超えて愛された本たちが、新しい出会いを待ち、集っていた。古書の魅力、それは「時空を超えている」ということ。例えば「真っ青な電話がほしいとして、しかし世間のブームは真っ白な電話だった場合、どこのお店に行っても買うことはできない。でも古本屋にはその真っ青な電話がある」と店主の瀬戸さんは例えて語る。本は書いてあるその内容が、新しいものの限界を古いものが超えることもありうる。そういうものが渡り合っているところが古書であり古書店である。その時代に生まれていないのに、その時代から存在している本と出会い、その世界観に触れることができる文字通り時と空間を超えているのが古書の魅力なのだ。古書の魅力やその存在意義、関わり、不思議な出来事、面白い話を聞いてたくさんの事を知りたいと感じた。きっとあの空間には、今回お聞きしたエピソード以外にもたくさんの運命的な出会いや、物語が存在しているのだと思う。まさに時と空間を行き来する、往来する場所であると感じた。              (取材/写真と文 菅原夕紀奈)店主 瀬戸雄史古書 往来座住所 東京都豊島区南池袋3-8-1-1FTEL 03-5951-39391975年8月31日生まれ。趣味 金魚の世話、読書休日は寝て過ごせたら幸せ水曜定休日平日12時頃~22時日曜祝日12時頃~20時豊島区東京23区時と空間を行き来する思わぬ運命的な出会い「古書 往来座」 四谷駅から徒歩15分程にある小さなビル。四階へ上がると、そこにはまるで店とは思えない重厚な扉がある。緊張しながら開けてみると、目の前には中々お目にかかれない品々が壁一面に並べられていた。「十拳」は日本刀から始まり美術刀剣、甲冑まで扱う刀剣専門店である。店内には日本刀はもちろん、美しく模られた鍔のたくさん入ったショーケース、部屋の隅には一式揃った甲冑が佇んでおり、まるで博物館のようである。店主の鎌田直利さんが店を構えたのは13年前。元々古い家具やアンティークが好きだったが、少し勉強したらすぐに理解できてしまった為に、長くは続かなかった。そこで出会ったのが刀。骨董品の中でも刀は非常に難しい。難しいからこそ、飽きることなく商売にまで至った。かつての日本を支え、武士の誇りとも言えるべき存在であった「刀」。しかし、その姿は時代の流れとともに歴史の中へ消えていった。それでも尚、受け継いでいく理由とは。     (取材/写真と文 出口花夏)鎌田直利有限会社 十拳住所 東京都新宿区四谷2-14-19-4FTEL 03-3350-9151東京都出身。有限会社「十拳」代表取締役。趣味はスキーとスノーボード。好きな刀は鎌倉時代の「侘び寂び」がある刀。一番長い仕事はお客さんとの長電話。刀の話は10分程度で他は世間話をしている。新宿区東京23区とっかかっちゅうかっちゅうつば受け継ぐ人を、待つ事は刀剣商の本当の顔とっか

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です