Las caracol 2015秋冬号
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日暮里繊維街の中心で一際目立つボタン屋がある。元々は1969年、両国の四畳半の木造アパートの二階からスタート。数年後、日暮里へ移動し、現在は一代目で父である熊谷正義さんと共に二代目の秦伸さんは働いている。秦伸さんはサラリーマン時代に使っていた英語を活かし自ら海外へ行き商品を仕入れている。お店には五千種類以上のボタンがある。実用性の高いものから高級なもの、個性的なものまで揃っている。日本人だけではなく世界中の人が買い求めに来るほど豊富なのだ。また、ボタン以外にもアメリカから直輸入しているプリント生地がある。これら全てが卸価格なのが驚きだ。「どこよりも『良いもの』をどこよりも『安く』」をポリシーにしているため、お客さんにとってとても優しい。また、この店で購入した商品で制作した完成品を見せに来る方もいる。売っている側は意外とどう使われているか分からないため、実際に見ることが出来ると嬉しいと同時にその出来栄えに感心するのだそうだ。これからは“ボタン屋”の熊谷商事という看板を守り、お客さんが喜ぶような商品ラインナップと店づくりを追求し、そしてもっとボタン屋というものを浸透させていきたいと熊谷さんは語る。  (取材/写真と文 林冴香)熊谷 秦伸熊谷商事株式会社住所 東京都荒川区東日暮里5-32-10TEL  03-3807-13861969年からスタート。ファンシー&ボビーグッズ、世界中の高級婦人ボタン、アメリカ直輸入コットン生地が揃っている。CMやTVにも多数出演するほどの人気店。営業時間 10:00~18:00 日曜日・祝祭日休み荒川区東京23区掛け違いのない  出会いを貴方に~日暮里から世界へ~湯島聖堂のさらに先、神田明神の鳥居の左手に風情ある老舗が一軒。168年前から続く伝統の甘酒と味噌が人気の糀店だ。こだわりの商品は、「明神甘酒」である。天然の土室で作り出される米糀をもとに、ここで扱う商品はさらに手を加えて熟成を待って作り上げている。砂糖は一切使っておらず、自然のままの甘さを楽しむことができる一品になっている。甘酒には、箸休めとして店でも販売されている久方味噌(なめ味噌)が添えてある。自然な甘さの甘酒と久方味噌のしょっぱさが見事に合っていて至福のひとときを味わうことができる。創業はなんと江戸時代後期の弘化三年、現在は六代目まで続いている外神田の老舗だ。初代の社長は元々、京都 ・ 丹後の宮津藩の出身だった。先に江戸へ出ていた弟は、剣術の腕を人に妬まれて暗殺されてしまった。その仇討ちを目的に初代の社長は江戸へ出て来た。当時のこの神田は、江戸の誰もが通る道の近くで、ここであれば仇に出会えるだろうという理由で茶店を営み始めたのだ。結局、仇には出会うことができなかったが、そのまま店が家業として続いている。茶店から米糀を扱うようになり、米糀を使用した甘酒や味噌を販売する現在に至っている。    (取材/写真と文 荒木香怜)天野史子天野屋住所 東京都千代田区外神田2-18-15TEL 03-3251-7911現在、67歳。天野屋6代目の社長は、天野史子さんの14歳上の姉の息子にあたる。休日は、平日にできない家事をするか寝ている。趣味は、食べ歩き。2年に1度だけ行われる「神田祭」には毎回、半纏とハチマキ姿で参加している。千代田区東京23区こうじかたきつちむろこうじこめこうじひさかた神田明神わきの糀屋仇討ちはじまりは

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